フェスティバル文化の果たす役割とは?文化外交を考える
韓国は冬の児童青少年国際フェスティバルに来ています。ここソウルでは、ASSITEJI主催のフェスティバルが年二回夏冬に開催されていますが、どちらもスポンサーが違うのです。冬のフェスティバルは韓国若者文化の中心である大学路を会場にしています。大学路は相変わらず活気がありますが、数年前の新規ビルディング工事ラッシュだった頃に比べると、格段に落ち着いた印象を受けます。日本と同じように欧米文化もすんなりと根付いているよう。カフェでお茶をするカップルが当たり前のようにいる文化に変貌してきました。

僕らは今回6名のメンバーでこのフェスティバルにやってきました。僕は会議やシンポジウムなどの仕事がありましたが、他のメンバーは純然たる観光です。生憎、冬のフェスティバルはインタナショナルの参加が二団体と少なく、作品を沢山見るという目的はかないません。なので、みんなも思い切って観光を楽しんでいます。僕はこちらの友人達の歓待を日々受けながら、韓国焼酎とおいしい料理に舌鼓を打ち続ける毎日です。どうしても韓国に来ると食べ過ぎてしまうので、胃袋の調子と相談しなければならないのですが。

昨日は2002年にキオが公演をした場所、ソウルの国立劇場に芝居を見に行きました。久しぶりに訪れたその場所には、青少年向け作品専用の劇場が二つも出来ていました。その上、現代演劇を俯瞰してみることのできる博物館まで常設されています。文化観光に対する韓国の本気度を目の当たりにして、垂涎の思いでした。現在、韓国中国は猛烈な勢いで観光立国を推し進めています。その一環として文化外交というのがきちんと位置づけられているのです。北欧などもものすごい予算がアジアへの文化外交戦略費として国家に計上されています。日本がこれから遅きに失しないようにしなければなりません。文化のよる外交戦略というのは一見すると不思議な気がします。しかし、文化という軽々と国境を越えていく者達が、真の国際交流を推し進めているという側面は明らかであり、その意義を熟知している様々な国々が、国力を投じて施策を推し進めているわけです。ここ韓国で夏冬のフェスティバルが開催され続けているというのも、国家的な予算が下りていないと出来ないことなのです。

夜にはレジデンシィプログラムの公演が上演されました。これは韓国にアジア各国のアーティストが三ヶ月滞在し、作品を作り上げるというプロジェクトです。ベトナム、インド、日本、韓国、台湾のアーティストたちが韓国の全面的出資により参加します。聞けば、最初の一ヶ月間は正しい韓国文化を勉強するために費やされるそう。まさに韓国文化の伝道師を他国のアーティストを使い養成しているのです。もちろんこの後、彼らは自国に帰り、その伝統を継承させようとするでしょう。これこそがまさに文化友好外交の一端に他なりません。またこのことで欧米諸国でも受け入れられる事になれば、アジア全体の成功の牽引車となるわけです。まさに少額の投資で効率の良いアピールができるわけで、日本も手をこまねいている場合ではなく、一刻も早く手を打たなければならない状況と言えるでしょう。このことは、中国なども盛んに取り組んでいます。スウェーデンがインドネシアの劇団に投資をしている例もあり、世界規模で行われていることが確認されています。僕は韓国に足を運ぶ度、日本はどうするのか?と自問自答し続けています。日本は何を重要視して将来的な施策を行うのか。日本は世界にたいしてどういう存在感を果たすのか。私たち民間的文化外交ももちろん重要ですが、国と向かい合う度、その微力さと向き合うことにもなります。官民協力してのやり方をもっと模索していく必要がある、それがまた日本らしいやり方なのだと思います。

海外に出るたびに、自分が日本人であるということを自覚する日々です。その上でこれからはより国際人であらなければと思います。
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by nakadachi2 | 2010-01-10 08:59 | TACT/FEST