アフリカへ チュニジアに行く #4
あけて翌日、チュニスへと車で向かう。フェスティバルはナブールで行われているのだが、なぜかチュニスでも公演を行っているのだ。チュニスには大使館などもあるため、そういう人たちに見せる配慮のようだ。出発は朝の6時。ナブールからチュニスまでは車で1時間。マイクロバスがホテルの前で我々を待っていた。荷物を積み込み、出発を待っていたがなぜかドライバーが乗り込もうとしない。なにやらそわそわとしている。聞けば彼はチュニスのどこに行けばいいのかを知らせれていないという。でもこちらでは一事が万事こんな感じなので笑えてくる。事務所に電話をしても、朝なので当然のように誰も出ない。だが、慌てても仕方がない。ここはチュニジアなのだ。とりあえず出発しようということになり、ドライバーは車を走らせはじめた。とすぐに、バスを止めて朝から空いている商店に入っていき、なにやら話してまた走るということを繰り返す彼。高速道路を走って、チュニスへと到着する。道すがら何度も連絡をしてくれたおかげで、どうやら劇場の場所が判明したようだ。自信ありげに劇場に着き、「どうだ!」という感じで振り向いたドライバーの満面の笑顔に、我々は拍手を送る。こんないい加減でもなんとかなるものなのだ。チュニスはどう見ても立派な都会である。
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街中には路面電車も走っている。海沿いの町ナブールではほとんどの建物が二階建てだが、チュニスではビルが林立している。
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到着してすぐに荷物を降ろしてセッティングを開始する。だがここでまたトラブルが発生。劇場に着いたのに劇場の担当者が不在らしく、何もわからないのだ。「私はなにもよく知らないの。だって担当じゃないんだもの」という中年の女性が一人いるだけである。まあいいさ。こういう事にはいい加減なれてきたので気にもとめず、こちらの都合だけで順調に仕込んでいく。いろいろと工夫をして、仕込みは一時間半ほどで無事完成。この劇場では、舞台上でもバトンは降りないということだったが、どうやって照明をするんだろう?僕らは使わないから、まあどうでもいいけど。
そうなのだ、グリーンモンスターという作品は照明を一切使わない。プロジェクターの灯りだけで芝居をするという特殊な作品だ。言葉もまったくなし。セットなども、幕以外にほとんど無い。まるでないないづくしの作品なのだ。だから反対に、どんな場所でも公演することが出来る。そこが海外でも。
公演の前はいつもそうだが、なにやらわからないくらいに慌ただしく過ぎてしまう。開演前にはロビーに人が溢れかえっている。い、いつのまに??これだけの人がどこから集まってきたんだろう?どうやら、後で聞いた話によるとラジオとかで「日本から劇団がくる!」ということが流れていたようだ。このフェスティバル自体、22年の歴史があるわけだから、そういう事情も加味しているのかもしれない。それにしても、こちらの観客はすごい!開演前には劇場のドアの前で、ドアを押しながら待っている。時間なんか気にしていなくて、ただ純粋に「早くみたい!」って感じなのだから恐れ入る。だれもいらいらなんかしていない。「見たい!見たい!」って、大人も子どももドアを押しているのだ!こちらのテンションも上がりますよ、そりゃあ。
で、あたふたと公演が終わり、何とか成功したみたいで、出口で親から「よかったわ!」などと、声をかけられる。「メルシー!」としか言えない自分がもどかしい!フランス語もアラビア語もなんでも話せるようになりたいな。
ほとんどのお客さんが出ていった客席では、現地の日本人の方達が語らっている。カンボス典子さんがどうやらみなさんに「ぜったい、見ないと駄目よ!」と呼び集めてくれたみたいだ。現地の旅行会社の人や領事館の人など、色んな日本人がこちらで頑張っているのだ。どの人の顔もとても魅力的に思った。なんとか、チュニジアでの初公演を終えて、何となくの手応えを感じ、途端に腹が減ったのでランチを食べることに。11時からの公演だったので、ランチを食べ損なっている。予定では無かったのに駆けつけてくれたワリードという、フェスティバルのスタッフと一緒にチュニジアン料理を食べに行く。レストランは観光客が多く訪れる土産物店が建ち並ぶ細い路地の奥を極まったところにある。もう時間は15時くらいだったが、それでも店内と店外(レストランの店先にも机が並べてある)はすべて満席。ワリードが「ここはこの辺りで一番だから待ちましょう」というので、待つ。お客が立ち上がったらすかさず座って注文。すでに色んな物が売り切れで料理は魚か肉のどちらかしかない。名物のクスクスを食べたかったがしょうがない。それで「鳥に似ている」という肉を注文する。出てきた物はソテーした肉にトマトソースポテトの素揚げと温泉卵とししとうの巨大な奴が乗っている一皿。有無を言わさない感じなのでひたすら食べる。空腹は最良のソースである。だいたいこちらではこのような味付けのものが多い。でもシンプルでうまい。食べ終わってすぐ、ワリードが「ブラジルから来た人を空港まで迎えに行っていたバスがもう戻ってきて待っている。時間がない」というので、バスまで急ぐ。何だかわからないうちにチュニスの土産物屋を素通りして帰る。ワリードよ、だけど素通りだけって、悲しくないかい?

バスに揺られ、都会のチュニスからナブールまで帰ってくる。それでも帰ってくるという行為はほっとするものだ。ホテルに戻ると、金雨玉さんと合流。先生は僕らを待っていてくれたらしく「公演はどうだった?」と聞いてきたので「よかったです」とだけ応える。それから一緒にディナーを食べて、そのあと、先生の部屋で飲むことに。先生の部屋には韓国から運んできた辛ラーメンやキムチ、ワインなどが溢れていて、そのまま宴会へと突入する。さすがに金先生は旅慣れている。JBLのスピーカーから流れるiPodのサウンドに酔いつつ、ワインを何本も空けてしまった。明日は空き日。多少どうなってもかまわないという感じで飲んでいると、「明日、チュニスに行こう」と先生に誘われた。「いや、先生、今日行ってきたんですよ」と言うと「でも、どこも見ていないだろう?」と言われ、それはそうだなと思って「わかりました。行きましょう。」と応える。そういうわけで翌日はチュニスへ観光へと向かう。
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by nakadachi2 | 2008-01-02 05:26 | TACT/FEST