海外に出ることを制限しているわけ
最近は少しゆったりとした気持ちで仕事に取り組んでいます。カフェに入ったり、キオの印刷物をデザインしたり(これがまた、山ほどあるんだ!)、燻製を始めたり、いろんな人と出会って話したり。もちろん芝居の稽古も。今は「賢治の贈りもの」の稽古が始まったところです。来月の頭に公演があるので、今回の稽古では完全な形を作ることを目標に取り組んでいます。

今月は海外に出る予定はありません。海外に行くことで日本でやりたいことが制限されるのがいやなんです。それに海外にばかり出ていると、自分がプロデューサーとは名ばかりで、バイヤーになってしまうことをさけたいんです。僕はあくまで物を作る人間です。そのことを制限してまで、仕入れと売りにばかり集中したくないんです。

もちろん、海外に出ることで刺激はたくさんあります。多くの人とも友達になれました。でも、今は地元でたくさん時間を過ごしたいと考えています。「地域は世界なんだよ」と僕に言ってくれた人がいます。そうです。地球のどこにいても、自分の足下がしっかりしていなければ、意味がないと思うんです。だから今は、芝居や食を作り、環境を作り提供したい。

選択と集中とでもいいましょうか。こういう時間が本当に必要だったのだと感じています。この数年、海外で過ごすことが多くなり、自分がいったい何者なんだろうという感覚にずっと襲われていました。ビジネスマンと同じ位飛行機に乗って世界を飛び回っている。

アイルランドで火山の噴火が起こったとき、僕はデンマークのホテルにいて5日間をそこでまんじりともせず過ごしました。そのとき自分がこのまま日本に帰らなくても誰も困らないのかもしれないと思ったこともありました。これはつまり、自分が必要とされていないのではないか?

東北の地震が起こったとき、僕はパリにいました。なにもできない。何も感じられない自分に腹が立ちました。日本を出て、どこにいても、やはり僕の住む場所は日本にあります。そことしっかりとつながっていることが必要なんです。いま、僕の興味の大半は日本にあります。日本の自然を見てみたい。日本の伝統文化、歴史にもっと造詣を持ちたい。日本の現代に触れていたい。

戦後、私たちはルーツやアイデンティティを見失った時期があったのかもしれません。しかしそのため、多様な価値観や表現がうまれているのだとも言えます。日本は世界で最も刺激的であり、美しい場所です。幸せになれるところだと思います。

僕はこどもたちに少しでも喜びや楽しさや悲しみや怒りといった感情を吐き出してもらうため、舞台に立ち続けているのだとも言えます。感情を奥底に秘めてしまうことになれている日本人だからこそ、子ども達に感情の坩堝である演劇や舞台芸術を見せていきたい。そして心を活性化してほしいと強く思うのです。そしてそのことがいま、最も必要なのだと確信しています。

たどり着くことのない文章を書いてしまいました。久しぶりに書いたブログです。まとまりのないことをお許しください。
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by nakadachi2 | 2012-02-16 09:21 | Others